小児患者の場合、保護者にあたる家族や親族が、病院まで送り迎えするケースが一般的です。しかし、中には毎回の送り迎えが大変だったり、そもそも病院への移動自体が、小児患者の負担になったりすることがあります。そこで行われているのが、小児在宅医療です。小児在宅医療では、主に小児科医が小児患者のもとを訪れ、必要な治療を行います。病院までの距離が遠い、過疎化の進む地域で特に重宝されており、徐々に都市部でも利用者が増えつつあります。
小児在宅医療において発生している問題の1つが、従事する医師の少なさです。そもそも小児科医は、医師の中でも特に足りていないことがよく指摘されており、小児在宅医療に従事する医師の少なさはより深刻となっています。医師免許を持っていれば、小児医療を専門としていなくても小児在宅医療に携わることができるので、現状では様々な診療科の医師が小児在宅医療にかかわることで成り立たせている部分があるのです。また、小児在宅医療に関する医療費を、どこまで制度でカバーするかという問題も発生しています。
小児在宅医療では、通常の病院での診療とは異なるコストも生まれますが、そのコストは社会福祉制度によってカバーされます。そのおかげで、利用者の負担は軽減されている一方、国や自治体の負担は増えつつあるのです。このまま小児在宅医療の利用者が増えていくと、社会福祉制度でカバーできる限界がくるのではないかと指摘されています。そのため、今後は制度を拡大したり、新しい制度を作ったりする可能性も出てくるでしょう。なお、小児在宅医療については、〔小児在宅医療〕でも詳しく説明されているので、参考にしてみるのがオススメです。